ローマ人への20の質問 (文春新書)



ローマ人への20の質問 (文春新書)
ローマ人への20の質問 (文春新書)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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単純明快な答えはない

 ローマで行われていた制度や文化などは、その先進性ゆえに今日でも通用するものがある。上下水道の整備や飢餓対策などは、われわれの社会よりも先進的な面もあるし、ローマの法は現代にも継受されている。しかし、そのような先進的なローマにも、今日の視点から見れば後進的な制度や問題視される制度があった。なぜ、そのような制度があったのか。なにゆえ先進的なローマは滅びたのか。

 著者はローマに関して議論されることの多い20のテーマを単純な質問にまとめ、その質問で提出された問題が果たしてローマ特有の問題なのかを検討する。そうすることで、ローマの問題とされていることが、実は現代でも解決されていなかったり、他の文明ではもっと不合理な取り扱いがされていたりすることを浮き彫りにする。

 どのような問いであれ、単純明快な答えなどないのである。背後に潜む問題を紙数の制約を受けながら丁寧に解き明かしてくれた良書であると思う。
古代ローマに関する本の落穂拾い(3)

ローマ人物語シリーズが昨年完結し、今年は寂しい思いをしています。改めてシリーズを読み返すのもいいでしょうが、シリーズ横断的にいくつかのテーマについて考察してみてるのはいかがでしょうか。本書はそういった視点を20個提供してくれます。この本は作者がローマ人の物語シリーズを書き進めている真最中、2000年に刊行されましたが、それまでのシリーズの要約ではなく、ローマ人の諸悪なるもの、富の格差、古代ローマ人と現代日本人の共通点、都市と地方の関係、ローマ法、パンとサーカス、奴隷、女、蛮族、そしてなぜローマは滅亡したのか、といった多くの日本人が抱くであろう質問に対して作者の答えをまとめています。全体的にローマの退廃といった偏見に対して否定的であり、階級間の移動の自由がローマ人の活力を生み、その活力が失われたのが滅亡の原因だろうと推察して2002年から始まるシリーズ第11巻以降を予告する内容で締め括っています。一味違った切り口での古代ローマ史へのアプローチは、ローマ人物語シリーズをまだ読んでいなくても、もう読み終えていても、新鮮に感じられるでしょう。お薦めの1冊です。
いつもは怖いおばちゃんが、なぜか優しい

色々な本で、インタビューの中で、現在の日本及び日本人を徹底的に叱っている怖いおばちゃん(尊敬の念を込めてです)が、
本書ではなぜかローマ帝国と比べて、日本人を叱咤激励しているように思えた。
正直、ついにおばちゃんにも叱ってもらえないような日本になってしまい、もうここで諦められたかとも思った。
別に私はマゾヒストではないし、自虐史観も持ってはいませんが、おばちゃんに変に優しくされると困ってしまう。
また別な本で、日本を思いっきり叱ってください。
私は怖いおばちゃんが大好きだから。
小説を書いた方が良いでしょう。

 『ローマ人の物語』等を書いた1937年生まれのイタリア在住小説家の2000年刊行の本。率直な感想を言えば、小説家であるために時代状況よりも英雄の人間性の方に関心があるように見え、そのために古代帝国と現在との生活環境の差異を無視してはいないにせよきちんと見ているようには見えず、古代の法や支配の実効性の問題への検討が弱かったり、ディテールが大事だと言いつつも英雄の事績以外では安易な断定が目立ったりするという欠陥が見られる。しかも多民族(民族意識もおそらく現在とは異なるはずだが)の衝突や妥協の中で帝国の支配が形成されていったという視点が希薄で、やけにローマ人の「立派さ」が強調されている感がある。また、多神教(例えば諸部族の力関係に基づく序列化・習合の産物)や一神教(例えば孤立を強いられたが故の唯一神への強い期待の産物)の形成過程や政治との関係を見ずに、教義で一神教を批判し、あまつさえ大日本帝国の失敗すらそれに帰す(その他、「ローマ人」の口を借りながら、著者自身の政治性をうかがわせる表現は随所にある)あたりには、著者の宗教観の浅さが感じられる(著者自身、カトリックの聖人崇拝の例を挙げているように、一神教も現実への適応を常に強いられているのだが)。<イフ>の復権の是非の章では、「一つのイフが多様な波及効果を及ぼし、いくつもの可能性を生み出す」という現実の複雑さの問題が全く検討されず、ただ真偽不確かな史料は無視すべきか否かという問題へと歪曲され、しかも学説の検討の意義が全く理解されていない(著者の歴史家批判がやけに現在の歴史学に無知で、定型化されているように感じるのは、私が古代史に無知だからなのか?)。最後に、ローマ滅亡の要因を覇気の喪失という安易な一回答に帰す前に、これまで安易に切り捨ててきた多様な要因の複合という視点で、もう一度考えてみた方が良いでしょう。
                        
作者が好きでなければこの一冊で充分

パワーエリートの教養として欲されそうなローマ帝国の論点が
最小限にかいつままれて、簡潔かつ興味深く書かれている。
作者独特の思い込みの強い感のある論調がほとんど無く、とにかくさらっと
読める。自分の論調が好きではない人に配慮してローマの話を
書き直したような感さえある。普通のひとは売るためにここまで
気を配らない。うん、真面目だよななみちゃん。



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